「運動生理学」という言葉を聞いたことはあるものの、詳しい内容までは知らないという方も多いのではないでしょうか。
運動生理学は、身体を動かした場合と動かしていない場合の反応を調べる学問で、リハビリやトレーニングにおいては必要な知識です。
この記事では、運動生理学の基礎知識や分類、運動生理学における作用のほか、運動生理学の学ぶ意義を解説しています。
運動生理学とはなにかを知って、今後の仕事に活かしたい方はぜひ参考にしてください。
運動生理学とは?
運動生理学とは、身体に影響を与えた場合(単純な運動や繰り返しの運動)に身体がどのような反応を起こすのか調べることです。運動によって、運動と関係のある器官がどのように働き、運動によって体力がどのように向上するのかも調べます。
運動といっても、運動の影響は個人の筋力や柔軟性、持久力、平衡感覚などが関係するため、本来は一定ではありません。このような筋力や柔軟性、持久力なども加味して、身体に起きる反応を調べるのが運動生理学です。
運動生理学は筋トレにおけるパフォーマンス力の向上方法や、運動障害の予防・回復、スポーツ選手のケガ予防などに応用されます。そのため、理学療法士や作業療法士には必要な知識です。
運動生理学の分類
運動生理学は、先述したようにさまざまな要因で変化します。そのため、運動生理学は基本的に以下の2つに分類して考えられます。
この項目では、上記の分類を詳しく解説します。
動物系
運動生理学分類上の動物系とは、おもに筋肉や神経の動きや働きのような、身体のパフォーマンスを指します。パフォーマンスには運動の制御や、運動による支配などがあげられます。
植物系
運動生理学分類上の植物系とは、身体に起きる生理的反応を指します。おもに体内での呼吸や代謝、循環のような、運動の維持に関わる内容です。
従来は植物系の運動生理のみが「運動生理学」とされていましたが、多くの研究から、現在は動物系と植物系をあわせて「運動生理学」と呼ぶようになりました。
【部位別】運動生理学における作用
この項目では、運動生理学における身体の各部位の作用を、以下の5つに分けて解説します。
それぞれ詳しく確認しましょう。
神経系
体内の神経は、以下のように末梢神経と中枢神経に分類されます。
末梢神経 |
中枢神経からつながった、手足や臓器などの身体中に張り巡らされた神経 |
中枢神経 |
脳や脊髄の神経 |
中枢神経は末梢神経から受けた情報をまとめ、指令を出す神経です。
一方、末梢神経は中枢神経と身体の各部の間に入って、情報伝達をおこないます。運動神経や自律神経に指令を出すのは、末梢神経です。指令を受けた運動神経は、指令にあわせて骨格筋を動かします。
筋肉
筋肉は伸び縮みして、身体を自由に動かすために必要な器官です。筋肉は骨格筋と平滑筋、心筋の3つに分類されます。平滑筋は胃腸や血管の動きに関わる筋肉で、心筋は24時間常に動いている心臓の筋肉です。
ここでは身体の運動に関わる、骨格筋について解説します。骨格筋は、先述した神経系からの指令によって収縮します。そのほかにも筋肉にはエネルギーを産生して身体を温める、血液循環を促す、骨を強くするなどの働きがあります。
関節・骨
関節と骨は、身体を動かすうえで重要な器官のひとつです。
骨は身体全体を支えて身体を動かしやすくしており、関節は腱を利用して骨同士をくっつけ、骨を離さずに動きやすさを制御しています。関節は2つ以上の骨が連なる部位のことで、手指や手首、足首、肩、肘も関節によって成り立っています。
そのほかの骨の働きとしては、以下のようなものもあります。
- 脳や臓器の保護
- 血液を造る
- 栄養の貯蔵(カルシウム)
- 関節を通して、運動の起点になる
呼吸
呼吸とは、息を吸って吐くことですが、息を吸って吐く過程で、体内ではさまざまな動きが行われています。
生きるうえでは新しいエネルギーを生むために酸素が必要です。食事から摂った糖分であるブドウ糖と、呼吸で取りこんだ新しい酸素が結び付くとエネルギーになります。
呼吸は肋間筋とよばれる肋骨の間の筋肉と、横隔膜の上下運動で行われています。そして新しい酸素を取り込むだけでなく、体内の酸と塩基のバランスを保つ「酸塩基平衡」にも関わっています。
酸塩基平衡はおもに肺と腎臓で行われています。肺では不要な二酸化炭素を出してpHを調整していますが、なんらかの原因によって肺から二酸化炭素がうまく排出されないと、酸塩基平衡のバランスが崩れてしまいます。
心臓
心臓は、全身に新鮮な酸素や血液を送る役割を果たしています。そして身体各部から戻ってきた不要な二酸化炭素や老廃物を取りこみ、きれいにして再度全身に送ります。
心臓には4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)があり、それぞれ重要な役割があります。新鮮な酸素や血液は左心室から全身に運ばれ、不要になった二酸化炭素などは右心室に戻ってくるという構造です。
また、心臓は常に拍動していますが、この拍動回数は神経系によってコントロールされています。
運動生理学はさまざまな場面で役に立っている
運動生理学はどのような場面で役立つのでしょうか。
運動生理学を学ぶと、身体に無理な動きや必要なエネルギー量などが把握できます。それに加えて保健指導も可能であることから、健康管理や疾病・ケガ予防に役立ちます。
また、身体への影響や必要な動きを学ぶと、一人ひとりに必要な動きも把握できるため、理学療法士や作業療法士がリハビリをおこなう際にも役立つでしょう。そのため、理学療法士や作業療法士を目指す場合は、大学などで運動生理学を学ぶことになります。
運動生理学を活かせる仕事には、先述した理学療法士や作業療法士のほか、身体全体を扱うトレーナーもあげられます。スクールなどに通いながらトレーナーを目指す場合、授業の一環で運動生理学を学べるでしょう。
まとめ
この記事では、運動生理学の基礎知識や分類、部位別における作用を解説しました。
運動生理学とは身体に影響を与えた場合と与えない場合などに分けて、その反応を調べるものです。
そして、運動生理学は筋肉や神経系の動物系と、呼吸や代謝、循環の植物系に分類されます。運動生理学においては、神経系や筋肉、心臓などでさまざまな作用があり、いずれも身体にとっては重要な役割を果たしています。
運動生理学を知っておくと健康管理やケガ予防にも役立つことから、理学療法士や作業療法士、トレーナーや、それらの職業に就くことを目指している方は、学んでおくと良いでしょう。
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