ジムは規模や種類によっては個人で開業できるビジネスモデルです。開業すれば、価格をご自身で設定したり、お客さまに提供するプログラムをご自身で決めたりできます。
しかし、規模や種類によって開業資金は異なるため、事前に知っておくと良いでしょう。
この記事では、ジムの開業資金を解説します。ジムの開業資金を知りたい方は参考にしてください。
ジムの開業資金はいくら必要?
ジムを開業する場合、個人なのかフランチャイズなのかで、必要になる開業資金は異なります。それぞれ、順番に解説します。
個人で開業する場合の資金
個人で開業する場合は、ジムの形態によって開業資金は次の表のように異なります。
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概要
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開業資金の相場 |
専門型 |
特定のテーマやトレーニングプログラムを提供する形態
ホットヨガやストレッチサービスなど |
300万円~500万円以上 |
特徴的な運営型 |
運営システム自体が特徴的な形態
24時間営業のセルフサービスのジムや成果コミット型、レンタルジムなど |
500万円~1,000万円以上 |
大型総合型 |
大人数が一度に機器を使用できる大規模な形態
プールやランニングコース、複数のスタジオなどが併設されている |
2,000万円~5,000万円以上 |
あくまでも目安であり、実際の開業資金は取得したい物件の場所や大きさ、ロッカールームやシャワールームなどの内装工事費、設置する機材の費用などによって増減します。
たとえば、次の表は独立行政法人中小企業基盤整備機構がパーソナルトレーナーの開業資金の例をまとめたものです※1。
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開業資金 |
物件取得費 |
150万円~350万円 |
内装工事費 |
300万円~1,000万円 |
トレーニング機材費 |
120万円~400万円 |
広告宣伝費 |
50万円~100万円 |
人件費 |
20万円~60万円 |
合計 |
640万円~1,910万円 |
個人で開業する場合は、上記の開業資金をご自身で用意するか、金融機関から借りるなどの必要があると覚えておきましょう。
※1出典:J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]「パーソナルトレーナー | 業種別開業ガイド」
フランチャイズで開業する場合の資金
フランチャイズとは、本部が持つ商標や販売、経営ノウハウなどを受けられる代わりに、ロイヤリティを支払うシステムです。
ジムの場合、ジムの経営ノウハウやシステムなどを構築する手間が省けます。
フランチャイズサービスによって異なりますが、500万円~2,000万円程度でパーソナルジムを開業できます。
ジムの開業にかかる費用の内訳
こちらでは初期費用が比較的低く、挑戦のし易いパーソナルジムを開業にする場合に必要となる費用の種類や目安などを順番に解説します。
物件契約の初期費用
パーソナルジムの開業にあたり、最初に考えるべき費用は物件取得費です。
一般的には家賃の6ヵ月分を前払いで支払うことが多いため、家賃30万円の物件なら180万円を用意しておく必要があります。
パーソナルジムを開くにあたり、物件は非常に重要です。
ジムの階数が低いほど通行人や車内から目につきやすくなるため宣伝効果を期待でき、坪数が広いほどさまざまな機材やスペースを用意できます。
一方で、好条件の物件は家賃が高くなる傾向があるため、注意しましょう。
内装やマシンなどの設備資金
開業資金において、物件取得費以上に大きな割合を占めるのは内装やマシンなどの設備資金です。
たとえば、壁や床のクロスの張替えや、電気・空調などの工事費、シャワールームを設置するための給水設備などで、300万円~1,000万円以上の内装費がかかります。
マシンは種類によりますが、家庭向けなら一台あたり15万円~50万円、業務用なら50万円~150万円程度です。
パーソナルジムは家庭向けの機材でも十分ではありますが、ある程度の台数が必要になるため、機材費として120万円~400万円程度はかかります。
居抜き物件や中古のマシンなどを購入すれば設備資金を安くおさえることは可能ですが、リスクもあるため購入する際は注意が必要です。
人件費や広告費などの運転資金
上記の費用以外に、パーソナルジムを始める際に、次のような道具やシステムを用意しておく必要があります。
- ウエアやシューズ
- カメラ
- レジスター
- インターネット回線
- パソコン
- プリンター
- 予約決済システム
- ウェブサイト作成
用意する道具の数や規模にもよりますが、上記のような初期費用の目安は約80万円です。
また、パーソナルジムを続けるにあたり、借りている物件の家賃やスタッフの人件費、光熱費などの運転資金も発生します。
開業してすぐに軌道に乗るとは限らないので、開業資金には物件取得費や設備資金、初期費用とは別に1年間分の運転資金も用意しておきましょう。
ジムの開業資金を手に入れる方法
ジムの開業資金を手に入れる方法は以下のとおりです。
- 自己資金を溜める
- 融資を受ける
- 補助金や助成金を受ける
上記を順番に解説します。
自己資金を溜める
自己資金とは、ご自身で働いて貯めておいたお金を開業資金として使用する方法です。
ほかの方法と違い、借入では無いため返済をする必要がありません。返済を気にせずに事業を始められることは大きなメリットです。
しかし、ジムの開業資金は小規模でも数百万円以上するため、あまり現実的な方法ではありません。
融資を受ける
ジムの開業資金を手に入れる一般的な方法は、融資を受けることです。銀行や信用金庫などの金融機関からお金を借りて、ジムを開きます。
自己資金を溜める方法と違って、時間をかけずに開業資金を得られることがメリットです。また、金融機関によっては経営に関するアドバイスを受けられる可能性もあります。
しかし、融資はお金を借りているため、金利を上乗せして返済する必要がある点に注意しましょう。
補助金や助成金を受ける
自治体や業種によっては、開業するにあたり補助金や助成金を受けられる可能性はあります。要件を満たしているか確認し、受給手続きをするなどの手間はかかりますが、返済の義務がないのは魅力的なポイントです。
なお、補助金は事業をサポートするために、助成金は労働者の職の安定を目的としています。そのため、補助金は予算が限られていて貰えるとは限りませんが、助成金は要件を満たしていればほぼ確実に受給される制度です。
ジムの開業資金として申請できる補助金や助成金がないか、まずは自治体の窓口に相談してみましょう。
ジムを開業するまでの流れ
ジムを開業するまでの手順は以下のとおりです。
- ジムに関する資格や知識を取得する
- 開業資金を調達する
- 法律に関する手続きを済ませる
- ジムを開業する
上記を順番に解説します。
ジムに関する資格や知識を取得する
ジムを開業するために資格は必要ありませんが、ジムトレーナーの資格や知識を身に付けておくとビジネスに役立ちます。
そのため、開業する前に、フィットネスクラブやスポーツジムで働くことや、資格取得などを検討してみましょう。
開業資金を調達する
知識や技術を磨いて独立したいと思ったら、開業資金を調達します。
なお、ジムの形態や規模、個人、フランチャイズなどの条件によって必要となる開業資金の金額は異なります。
個人で始めるのか、フランチャイズで始めるのか、ジムの形態や規模など、細かい部分まで計画を練ったら、開業したいジムの条件に見合った開業資金を調達しましょう。
法律に関する手続きを済ませる
個人でジムを開業するなら開業届、法人を設立するなら法務局に登記申請が必要です。
ジムを開業するための資格はありませんが、開業するためにはいくつもの書類を作成するため、行政書士や司法書士などの専門家に依頼しましょう。
ジムを開業する
法律に関する手続きを済ませるのと並行して、ジムの場所決め、必要な工事や機材の搬入、スタッフの雇用などを済ませます。
全部の手続き、工事などが終われば、ジムを開業できます。
ジムを開業するために資格は必要?
ジムを開業するために必須な資格はありません。
しかし、ジムで働く際は、トレーニングやメンタルケア、コミュニケーションなどに関する知識を身に付けておくことが望ましいです。また、ジムを開業すれば、経営者としてのスキルと知識も求められます。
ジムを開業するにあたって、知識や技術を身に付けたい場合におすすめの資格は以下のとおりです。
上記を順番に解説します。
NSCA-CPT
NSCA-CPTとは、さまざまな年齢や性別の方を対象にトレーニング指導をおこなう知識が身に付いているという証明になる資格です。
取得要件 |
- 高校を卒業している、あるいは高卒認定試験に合格している
- 18歳以上
- NSCAジャパンの正会員か学生会員
- 有効なCPR/AEDの認定者※2
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難易度 |
82.3%(2022年度) |
取得までの費用 |
独学なら約8万円~約9万円 |
高校を卒業している、あるいは高卒認定試験に合格している18歳以上で、NSCAジャパンに年会費を支払っている有効なCPR/AEDの認定者の場合、試験に合格すれば取得できます。
2022年度の難易度は82.3%となっており、独学でも合格できる可能性はあります。資格取得までの費用は独学なら約8万円~約9万円です。
アスリートも指導できるだけの知識を身に着けていることを証明できるため、パーソナルトレーナーとしての知識を身に付けたい方におすすめの資格になります。
※2 資格認定に有効なCPR/AEDの認定には条件があります。
NESTA-PFT
NESTA-PFTとは、健康やフィットネス、ウェルネスの改善をサポートする総合的な知識や、コミュニケーション能力、ビジネススキルなども習得している証明になる資格です。
取得要件 |
必須要件
(全て満たす必要がある) |
- NESTA JAPANからPFTテキストを購入済み
- CPR・AEDの技能を習得・保持している
- 日本国籍または、日本での就労可能な在留資格を有する
- 満18歳以上で、高等学校卒業以上の者、高等学校卒業程度認定資格試験合格者、またはNESTAが認定する教育カリキュラム修了者
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該当要件
(ひとつ以上に該当する) |
- 1年以上のパーソナルトレーナー・インストラクターなどの実務経験がある
- 1年以上の運動部指導、フィットネス企業勤務経験がある
- 体育系または、医療系の大学・専門学校を卒業している
- NESTAの認定する養成講座、養成コース(認定校・認定アカデミー含む)を受講済みである
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合格率 |
50%~60% |
取得までの費用 |
独学なら約8万円~約21万円 |
NESTA-PFTを取得するためには、必須要件を全部満たしたうえで、該当要件のいずれかひとつを満たす必要があります。
パーソナルトレーナーとしての実務経験がなく、体育系・医療系の学校を卒業していない方は、NESTAの認定する養成講座、養成コースを受講しましょう。
公式の合格率は不明で、50%~60%といわれています。資格取得までの費用は、独学なら教材費込みで約8万円~約21万円です。
NESTA-PETはパーソナルトレーナーとしての専門的な知識やスキルだけでなく、マーケティングに関する知識も身に付けられます。ジムの経営者を目指している方は、取得を検討してみましょう。
ジムを開業して成功するためのポイント
ジムを開業して成功するためのポイントは以下のとおりです。
- 新しい知識を得る
- マーケティング戦略を重視する
- コミュニケーション能力を高める
- 資格を取得しておく
上記を順番に解説します。
新しい知識を得る
トレーニングに関する知識やブームなどは常に変化しています。顧客のニーズに合わせたプログラムや機材を導入できなければ、クライアントの獲得は難しいです。
そのため、ジムを開業して満足するのではなく、新しい知識やトレンドを吸収し、経営に反映しておくと良いでしょう。
マーケティング戦略を重視する
ジムを開業する場合、次のようにターゲットになる人物や年齢層などを考える必要があります。
- 帰宅途中の学生や社会人
- 体型維持を考えている人
- 近所で暮らしている主婦
- 健康維持を考えている高齢者など
ターゲットになる人物の属性や年齢層によって、求められるニーズは異なり、用意すべきプログラムや機材なども違ってきます。
ジムを開業するためには、トレーナーとしてだけでなく、オーナーとしての知識やセンスも問われると覚えておきましょう。
コミュニケーション能力を高める
オーナーとトレーナーを兼任する場合でも、トレーナーを雇ってオーナー業に専念する場合でもコミュニケーション能力を磨く必要があります。
コミュニケーション能力が足りないと、顧客が定着せず、スタッフとの関係性も悪くなり業務に支障をきたす恐れがあるためです。
パーソナルトレーナージムは在籍しているスタッフの質によって経営が大きな影響を受けるため、成功するためにもコミュニケーション能力を磨きましょう。
資格を取得しておく
オーナーとして働くための資格はありませんが、トレーナーとしての資格を取得しておくと、ジムを開業したときのアピールポイントになって、顧客獲得につながる可能性があります。
NSCA-CPTやNESTA-PFTは、トレーナー育成スクールでも取得できる資格なので、取得を検討してみましょう。
まとめ
次の表は、パーソナルジムを開業した場合の開業資金の一例です。
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開業資金 |
物件取得費 |
150万円~350万円 |
内装工事費 |
300万円~1,000万円 |
トレーニング機材費 |
120万円~400万円 |
広告宣伝費 |
50万円~100万円 |
人件費 |
20万円~60万円 |
合計 |
640万円~1,910万円 |
小規模なジムなら数百万円、中規模なら1,000万円以上、大規模なら5,000万円以上と、ジムの規模や種類によって開業資金は異なります。
ジムを開業する前に、開業したいジムの種類やターゲットにしたい年齢層などを考えておくと良いです。また、顧客獲得につながるアピールポイントになるので、開業前に資格取得も検討してみましょう。
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