独立してパーソナルジムの経営をしたいと考えているものの、失敗する可能性を考えると躊躇してしまう方も多いでしょう。そこで大切なのは、どのようなパーソナルジムが失敗しやすいかを知っておくことです。
失敗する理由を理解し、適切に対処できれば、安定した経営をできる可能性が高くなるでしょう。また、ご自身がやるべきことが明確になり、開業のための行動を起こしやすくなります。
この記事では、パーソナルジムが失敗する理由とジム経営に失敗しやすいパーソナルトレーナーの特徴に加えて、経営を成功させるためのポイントについて解説しています。
パーソナルジムの開業を目指しているものの、独立に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
パーソナルジムの経営が失敗するおもな6つの理由は、以下のとおりです。
それぞれの理由について、詳しく解説します。
効果的な広告を出せていないと集客ができず、ジム経営が失敗しやすくなります。集客のためには、広告費の予算を確保しなければなりません。
ただし、費用をかけるだけでは不十分です。広告が集客につながらなければ、広告費は無駄になってしまう可能性があります。
オンライン・オフラインのどちらの方法でも、以下のような広告を作成しないよう注意しましょう。
広告は重要ですが、一方で費用をかけ過ぎて経営を圧迫しないよう、予算のバランスを取ることも忘れないようにしましょう。
立地が悪いとジムの経営が失敗しやすくなる可能性があります。家賃が安くても、以下のような物件は避けることをおすすめします。
一方で、条件が良い場所を選んでも、家賃が高いと利益を出しにくい傾向にあります。なにも決まっていない段階で、先に開業場所を決めてしまう方もいますが、本来なら店のターゲット層やコンセプト、店の規模などを決めたあとで最終的に決定すべきでしょう。
人材を多く雇用するほど人件費がかかります。
人件費は経費の中でも多くを占めるでしょう。もし有資格者を雇うなら、給与は25~30万円ほど支払うこととなり、社会保険料の負担も必要です。
人件費を削るために給与を安くすると、良い人材が集まりにくくなります。スタッフが少な過ぎると一人ひとりの負担が大きくなり、従業員のエンゲージメント低下につながるリスクがあります。
従業員の質やエンゲージメントはサービスの質に直結するため、人件費には注意が必要です。
近隣にパーソナルジムが多い場合には、競合との差別化が必要です。近隣の店舗と同じようなパーソナルジムを展開しても、新規で開業するジムが競合相手に勝つのは難しいでしょう。
差別化として金額の安さのみで勝負すると利益が少なくなるため、安易におこなうべきではありません。ターゲット客層を意識し、「このジムでしか受けられないサービスがある」と顧客に思ってもらえるようなサービスを展開しましょう。
顧客の契約継続率が低いと、ジムの経営が失敗しやすくなってしまいます。新規顧客が集まっても、継続的に通ってもらわなければ長期的な利益にはつながりません。
顧客がジムに通わなくなってしまう原因には、以下のような理由があげられます。
そもそも筋トレの継続はハードルが高く、継続率が低いことはある程度仕方のないことともいえます。
しかし、それでも顧客の契約継続率が高いパーソナルジムは確かに存在します。継続率を上げるには、それだけの魅力が必要となるでしょう。
初期費用のかけ過ぎには注意しましょう。店の外装・内装にこだわりを持ち過ぎると、開店費用がかかり過ぎて、開店してからの資金繰りが難しくなります。店の外見や清潔感は大事ですが、費用をかけ過ぎないことが大切です。
開店してすぐに利益を出すのは難しく、資金には余裕を持っておく必要があります。パーソナルジムの経営には、継続的にどれくらいの予算が必要となるのか、あらかじめ把握しておきましょう。
ジム経営に失敗しやすいパーソナルトレーナーの特徴として、たとえば以下のようなことが考えられます。
ジムを経営する場合、トレーナーとしての経験や実績が必要となります。確かな技術と資格があればブランディングにもつながり、顧客に寄り添った指導ができれば信頼も得やすいでしょう。
更に、経営者には集客・マーケティング・経営戦略・会計・法律に関する知識が必要となります。独立を考えている場合、なるべく早く学び始めることをおすすめします。
パーソナルジムの経営を成功させるためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。経営を成功させるためのポイントは、以下のとおりです。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
パーソナルジム経営を成功させるためには、まずターゲットを絞る必要があります。ご自身のジムではどのような顧客を想定しているのかを明確にしましょう。
ターゲットを絞る際には、「会社員」「20~60代」「男性」「女性」など、ざっくりしたターゲット設定では不十分です。
「20代会社員・女性で、ダイエットを目標としている」「60代男性で普段は自宅におり、健康維持を目的にトレーニングをしたい」「30代女性で、残業が多い職場だが、帰りに少しだけ筋力アップのためのトレーニングをしたい」など、なるべく具体的にイメージすることが大切です。
顧客の顔が見えてくると、立地やサービス内容、価格をどのように設定すべきかが見えてくるでしょう。
パーソナルジムの経営を成功させるためには、立地選びを慎重におこないましょう。ジムを開業するなら、以下のような場所がおすすめです。
選定のポイントは、ご自身が設定するターゲット層が多く住む場所、あるいは訪れる場所がどこかという点です。会社員をターゲットにするなら、駅の近くやオフィス街が良いでしょう。普段自宅にいるシニア層をターゲットにするなら、住宅街がおすすめです。
競合他社が少ないエリアを選ぶのも重要なポイントです。リサーチの際には、競合のターゲット層についても調べましょう。また家賃にかかる費用も考え、高過ぎるところは避けるなどの工夫も必要です。
致し方ない理由で立地が悪い場所で開業する場合には、オンライントレーニングの導入を検討しても良いでしょう。
パーソナルジムは、小規模で始める方法もあります。規模の大きいパーソナルジムほど、開店費用も継続費用も高額になるため、利益が思うように得られなければすぐに経営不振に陥ってしまうでしょう。
しかし「自宅を利用する」「小規模な物件を借りる」などの方法を選び、ご自身がトレーナーとなれば、家賃も人件費もあまりかかりません。顧客がつき、軌道に乗ったら徐々に規模を広げていくのが良いでしょう。
パーソナルジムを広く知ってもらうには、効果的な広告を出す必要があります。広告は、オンライン広告とオフライン広告を使い分けると良いでしょう。
まずは、ジムの開業とともにウェブサイトを開設し、SNSを活用します。ニーズがある方が検索したときに、検索ページの上部に掲載されるリスティング広告も効果的でしょう。
ターゲット層の顧客がいるエリアでは、チラシ配布やポスティングなどのオフライン広告の活用もおすすめです。
オンラインでもオフラインでも、申込み方法をわかりやすく明記することを忘れないようにしましょう。
安定した経営をするためには、顧客の契約継続率を上げることを意識しましょう。パーソナルジムは基本的に継続率が低いことを想定し、顧客が続けやすい環境を作り込むことが重要です。
顧客の契約継続率を上げるための具体的な方法として、以下のような手段が考えられます。
継続率を高めるには、顧客とスタッフの信頼関係を築きつつ、施設やサービスの使いやすさを向上させると良いでしょう。
パーソナルジムの経営を成功させるために、フランチャイズ加盟を検討するのもひとつの方法です。フランチャイズに加盟すれば、本部から経営のサポートや研修を受けられるので、経営に慣れていない方でも比較的安心です。
また、独自のルートでトレーニング器具を購入・リースできる場合があるのもポイントです。フランチャイズに加盟すれば、知名度を活かした集客ができ、他店舗からの流入も期待できるでしょう。
一方で、フランチャイズに加盟すると本部にロイヤリティを払う必要があります。ロイヤリティの支払いのために赤字になるケースも考えられるので、慎重に検討しましょう。
パーソナルジムの経営を成功させるためには、広告や立地、人件費、初期費用、顧客の契約継続率、競合他社の調査など、適切な努力が必要です。
ジム経営に失敗しやすいパーソナルトレーナーの特徴として、トレーナーとしての経験が不足していたり、ブランディングにつながるような資格・技術を保有していなかったりする傾向があります。またトレーナーとしては優秀でも、経営の知識が不足していると、ジム経営を継続することは難しいでしょう。
パーソナルジムを成功させるポイントには、「顧客のターゲットを絞る」「立地選びを慎重におこなう」「小規模でスタートする」「効果的な広告を出す」「顧客の継続率を上げる」「フランチャイズ加盟を検討する」などがあります。
勢いや流れに任せず、一つひとつ慎重にクリアしていくことを心掛けましょう。
パーソナルトレーナーとしてスキルアップを目指す方、パーソナルジムの経営を目指す方は、専門の養成スクールに通う方法がおすすめです。
ASPトレーナースクールでは、なりたいトレーナー像にあわせて「ベーシックコース」「アドバンスコース」「マスターコース」と、3つのカリキュラムを用意しています。
パーソナルジムの開業を目指す方には、マスターコースがおすすめです。トレーナーとしてだけでなく、機材の選び方やウェブサイト作成業者の選定、銀行融資など、スポーツジムの運営に必要な内容を幅広く学べます。
パーソナルトレーナーとしての知識と実力をつけて、ジムの経営を成功させたい方は、ASPトレーナースクールの無料体験授業を受けてみてはいかがでしょうか。
長崎大学大学院生産科学研究科を修了後、大日本印刷株式会社、東レ株式会社にてディスプレイ関連製品の開発・生産技術職に従事。2018年以降、長崎を拠点に経営・キャリアコンサルタントとして、企業の人材戦略、採用定着・チームビルディング、集客サポートなど、経営から人材活用に関するコンサルタントを行っている。