パーソナルトレーナーとして独立する際は、税務署に対して開業届を提出する必要があります。開業届の提出自体は難しいことではありませんが、初めて提出する場合は提出方法や書き方がわからず、悩んでしまう場合もあるでしょう。
この記事では、開業届の概要や提出先、書き方、開業届以外に必要となる書類の種類などを解説します。
パーソナルトレーナーとして独立する際に提出が必要な「開業届」とは?
職種にかかわらず、企業や団体から離れて独立開業をする際は、税務署に開業届を提出する必要があります。
開業届は、個人事業を開業したことを税務署に届け出る書類です。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」ですが、一般的には開業届と呼ばれています。
開業届を提出すると、「屋号の名義で銀行口座を開設できる」「個人事業主としての証明になる」「青色申告ができる」など、さまざまなメリットが生まれます。独立後も役立つ場面が多いため、忘れずに提出しましょう。
なお、開業届の提出期限は開業の日から1ヵ月以内です。提出期限が土日祝日の場合は、翌日が期限となります。
開業届の提出先は「納税地を所轄する税務署」
開業届の提出先は、「納税地を所轄する税務署」と決められています。
ここでいう納税地とは、現在住んでいる住所のことを指します。つまり、開業届は現在住んでいる住所を所轄する税務署に提出します。
なお、所轄の税務署は、国税庁のウェブサイト「国税局・税務署を調べる」から検索可能です。開業届を出す前に調べておくと良いでしょう。
パーソナルトレーナーが開業届を提出する方法
開業届は以下の3種類の方法で提出できます。
- 税務署の窓口で提出する
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して提出する
- 郵送で提出する
どの方法で開業届を提出するかは自由です。上記のうち、ご自身にとって都合が良い方法を選びましょう。
以下で開業届の提出方法をより詳しく解説します。
税務署の窓口で提出する
税務署に直接出向き、窓口で開業届を提出する方法です。職員に開業届に関する不明点を質問できるほか、提出方法がシンプルでわかりやすいところがメリットです。
なお、税務署の開庁時間は月曜日から金曜日の8時30分〜17時となっています。ただし、祝日は閉まっているためご注意ください。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して提出する
e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは、インターネットを利用して申告や納税などの手続きができるサービスです。
マイナンバーカードとICカードリーダライタ(またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン)、インターネット環境さえ揃っていれば、自宅にいながら開業届を提出できます。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して開業届を提出する流れは、以下のとおりです。
- 国税庁のウェブサイトから利用者識別番号を取得する
- ICカードリーダライタ(またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン)でマイナンバーカードを読み取り、国税庁のウェブサイトから電子証明書を取得する
- 国税庁のウェブサイトからe-Taxソフトをインストールする
- e-Taxソフトの「申請・申告等一覧」から「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択し、必要事項を入力する
- ICカードリーダライタ(またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン)でマイナンバーカードを読み取り、電子署名を付与して「個人事業の開業・廃業等届出書」を送信する
提出後はe-Tax(国税電子申告・納税システム)のメッセージボックスに、開業届が税務署に提出されたことを知らせる受信通知が届きます。
郵送で提出する
税務署に足を運ぶ時間がない方やe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用が難しい方は、郵送で開業届を提出しましょう。郵送で提出する際は以下の5点を同封し、所轄の税務署宛に開業届を送付します。
- 開業届
- 開業届の控え
- 返信用封筒
- 返信用切手
- マイナンバーカードの写し(マイナンバーカードの写しがない場合は、マイナンバーを確認できる書類と身元確認書類の2点)
開業届は郵便ポストに投函するほか、税務署の窓口受付時間以外に書類を提出できる「時間外収受箱」に投函することでも提出できます。
また、郵送で開業届を提出する場合は、消印に表示されている日付が提出日とみなされます。
パーソナルトレーナーの開業届の書き方
パーソナルトレーナーとして独立することが決まったら、早速開業届を作成しましょう。ここでは、パーソナルトレーナーとして独立したい方に向けて開業届の書き方を項目別に紹介します。
項目 |
記入内容 |
提出する税務署 |
所轄の税務署名を記入 |
提出日 |
開業届の提出日を記入 |
納税地、上記以外の住所地・事業所等 |
「住所地(実際に住んでいる場所)」「居所地(生活の拠点ではなく一時的に住んでいる場所)」「事業所等(事務所や店舗)」のいずれかを選択し、住所と電話番号を記入 |
氏名、生年月日 |
氏名と生年月日を記入 |
個人番号 |
マイナンバーを記入 |
職業 |
ご自身の職業を記入、パーソナルトレーナーの方は「パーソナルトレーナー」と記入する |
屋号 |
事業の名前を記入、空欄でも良い |
届出の区分 |
「開業」を選択 |
所得の種類 |
「事業所得」を選択 |
開業日・廃業日 |
開業した日付を記入 |
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 |
「青色申告承認申請書」や「消費税課税事業者選択届出書」を同時に提出する場合は上の段の「有」にチェック |
事業の概要 |
事業内容を記入する(例:個人を対象にしたトレーニング指導の提供など) |
給与等の支払の状況 |
従業員を雇用する場合に記入 |
なお、開業届は国税庁のウェブサイト「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」からダウンロードできます。
開業届以外に提出が必要な書類の種類
パーソナルトレーナーとして独立する場合は、開業届以外に「青色申告承認申請書」と「事業開始等申告書」の提出も必要です。以下では、それぞれの書類の概要や提出方法を紹介します。
青色申告承認申請書
青色申告承認申請書とは、確定申告で青色申告をするために必要な書類のことです。
青色申告は、複式簿記または簡易簿記で作成した帳簿に基づいて確定申告をおこなう方法で、事業所得や不動産所得、山林所得がある方が申告できる決まりになっています。パーソナルトレーナーとしての所得は事業所得に該当するため、青色申告による確定申告をおこなえます。
青色申告で確定申告をすると、最大65万円の控除を受けられます。納税の負担を大きく軽減できるため、開業時は忘れずに提出したいところです。
なお、青色申告承認申請書の提出期限は青色申告をしたい年の3月15日まで、1月16日以降に開業した場合は開業日から2ヵ月以内です。
また、青色申告承認申請書の提出先は納税地を所轄する税務署です。開業届と同様の方法で提出できます。
事業開始等申告書
事業開始等申告書は、都道府県税事務所に個人事業の開業を申告する書類です。
個人事業主は国税である所得税のほか、地方税の個人事業税も課税されます。個人事業税は都道府県から課税される税金なので、開業届とは別に都道府県税事務所へ事業開始等申告書を提出しなければいけません。
なお、自治体によって事業開始等申告書の提出方法や期限は異なります。提出方法や期限がわからない場合は、住んでいる自治体に問い合わせましょう。
パーソナルトレーナーの開業を成功させるコツ
パーソナルトレーナーの開業を成功させるためには、集客方法やスキル向上などさまざまなことを意識しなければいけません。
以下ではパーソナルトレーナーの開業を成功させるコツを解説するので、ぜひ心がけてください。
集客のノウハウを身に付ける
パーソナルトレーナーに限ったことではありませんが、独立後に仕事を獲得するためには集客が欠かせません。
安定した集客ができていないと十分な収入を得られず、生活を送るのが難しくなる可能性もあります。そのため、集客のノウハウは開業前の段階で身につけておきましょう。
有効な集客方法はさまざまですが、よくある例としてはSNSやウェブサイトの活用、ポスティング、イベントの開催などがあげられます。また、ご自身のことを顧客に紹介してもらえるよう、パーソナルジムのスタッフと人脈を築いておくことも大切です。
働き方を決めておく
企業と雇用契約を結ぶのではなく、独立しフリーランスのパーソナルトレーナーとして働く方法には、「業務委託型」と「派遣型」の2種類があります。
業務委託型はパーソナルジムやフィットネスクラブと契約を交わし、契約先の施設の場所を間借りしてトレーニング指導をおこなう働き方です。ジムに出向いてトレーニング指導をおこなえるため、ジムの社員として働くような感覚で指導に取り組めます。
一方、派遣型のパーソナルトレーナーは、個人やチームと契約を交わしてトレーニング指導をおこないます。業務委託型のように契約内容に関する制約を受けないため、高い自由度で働けます。
それぞれ特徴が異なるため、どちらが良いかは一概にいえません。開業後スムーズに働くためにも、働き方の具体的なスタイルは明確にしておきましょう。
パーソナルトレーナーとしてのスキルを高める
パーソナルトレーナーの開業を成功させるには、ご自身のスキルを高めることも重要です。
高いスキルは集客につながるほか、リピート率の増加にもつながります。結果的に収入も増え、より安定した生活を送れるようになるでしょう。
パーソナルトレーナーに必要なスキルはさまざまですが、代表的な例としてはコミュニケーション能力やトレーニング知識、生理学や栄養学、機能解剖学の知識などがあげられます。加えて、トレーニング関連の資格を取得することも有効です。
これらのスキルを高めたいものの、ご自身1人では難しいと感じる場合には、多様な知識や実践的な技術が身に付くトレーナー育成スクールへの通学も検討しましょう。
まとめ
パーソナルトレーナーとして独立する際は、開業届の提出が必要です。開業届は税務署の窓口やe-Tax(国税電子申告・納税システム)、郵送で提出でき、ご自身にあった提出方法を選べます。
開業届のほかには、青色申告承認申請書と事業開始等申告書の提出も必要となるため、忘れないようにお気をつけください。
また、パーソナルトレーナーの開業を考えている方は、今のうちにスキルを高めておくことが重要です。スキルアップの手段に悩んでいる場合は、トレーナー育成スクールの受講を検討しましょう。
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