フィットネス業界で働きたいと考えている方は、現状や将来性、問題点などが気になるかもしれません。また、具体的な職種を知り、どのような働き方をしたいのかを考えることも重要です。
そのため、フィットネス業界で働きたいと考えている方は、現状や将来性、問題点、代表的な職種などを知っておきまでしょう。
この記事では、フィットネス業界の現状や将来性、職種の種類などを解説します。フィットネス業界に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
フィットネス業界の現状
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、フィットネスクラブの2024年5月の売上高は約240億円※1で、2023年度の売上高は約2,784億円※2です。
次の表は、フィットネスクラブの2019年~2023年度までの売上高や利用者数などをまとめたものになります。
年度 |
売上高 |
フィットネスクラブの会員数 |
事業所数 |
2019年度 |
約3,347億円 |
約336万人 |
1,461事業所 |
2020年度 |
約2,235億円 |
約268万人 |
1,583事業所 |
2021年度 |
約2,450億円 |
約257万人 |
1,506事業所 |
2022年度 |
約2,682億円 |
約264万人 |
1,500事業所 |
2023年度 |
約2,784億円 |
約279万人 |
1,603事業所 |
フィットネス業界は、健康への意識の高まりから2014年~2019年度まで売上高が約3,000億円以上を維持し続けていましたが、社会情勢の変化により2020年度には大幅に売上が落ちています。
フィットネスクラブの会員数も減少しましたが、2022年度から復調の兆しを見せていることから、現在は回復傾向にあるといえるでしょう。
一方、事業所数は売上高や会員数と異なり、着実に伸びていることが表からもわかります。
現在のフィットネス業界内では、「トレーナーがおらず低価格で利用できるタイプ」と「高価格ながら手厚いサポートを受けられるタイプ」の二極化が進んでおり、少額かつ小規模ジムの出店が増えていることが特徴です。
そのため、トレーナーがマンツーマンで指導するパーソナルジムの需要や注目度も増しています。
※1 出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計速報(2024年5月) 概況」
※2 出典:経済産業省「フィットネスクラブ」
フィットネス業界の将来性
フィットネス業界が社会情勢の変化による損失から回復を続けているのは、健康意識や美容意識の高まりが大きいです。
とくに、近年はリモートワークや在宅勤務の普及により生活様式が変わったことで、運動に取り組む人口が増えています。
同時に、新しい技術を取り入れたサービスが展開されていることも、大きなポイントです。
たとえば、AIを活用してトレーニングメニューを提供するジムや、スマートデバイスと連動したフィットネスアプリなどが登場しており、利用者の目的や特徴、体力などにあわせたトレーニングが提供できます。
そのため、将来的には利用者のニーズにあわせたマイクロジムが増えていくと予想されています。
マイクロジムとは、小型のフィットネスクラブやパーソナルジムを指す言葉です。おもに、特定のニーズに特化したサービスやシステムを提供しています。
マイクロジムが増えれば、利用者はご自身の目的やライフスタイルにあったトレーニング環境を選択しやすくなるでしょう。
なお、技術の進化により、利用者のニーズにあわせてサービスやシステムを提供するジムが増えた場合、トレーナーには知識やスキルをアップデートすることが求められます。
将来的にフィットネス業界で働くつもりなら、ご自身のスキルや知識、得意分野などを増やすことが重要だと覚えておきましょう。
フィットネス業界が抱える課題とは?
売上高が回復傾向にあるフィットネス業界ですが、いくつかの課題も存在します。フィットネス業界が抱える問題は、以下のようなものが考えられます。
- 経費や維持費が上昇している
- 設備投資や人材確保の負担が大きい
上記を順番に解説します。
経費や維持費が上昇している
ジムの形態やサービス内容にもよりますが、店舗型のジムの場合は水道光熱費の上昇の影響を受けやすいです。また、人件費の高騰もあり、経費や維持費が大きな課題となっています。
実際、市場規模や事業所数は順調に増えているにも関わらず、2023年度のフィットネスクラブの倒産件数はハイペースです。
業績不振が続くクラブが次々と撤退しており、業界内での競争が激しくなっているという指摘があります。
設備投資や人材確保の負担が大きい
近年のフィットネス業界では、市場規模の増加に伴い多店舗展開が加速していますが、多店舗展開で事業展開する場合は、設備投資の負担が大きくなりやすいです。
また、消費者安全調査委員会によれば、パーソナルトレーニングを受けている最中の怪我や事故が増加しています※3。
マンツーマンレッスンで指導するパーソナルトレーニングでは、サービスの質はトレーナーの知識や技術に委ねられる部分が大きいです。
怪我や事故を防ぐためには、個々人に応じた指導がおこなえるしくみを構築したり、確かな知識と技術を身につけた人材を確保したり、安全性に配慮する必要があります。
しかし、トレーナーの人手不足もあり、人材を確保できずにクラブを閉鎖するケースは少なくありません。
※3 出典:消費者安全調査委員会「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害に係る事故等原因調査について(経過報告)」
フィットネス業界で働くメリット
フィットネス業界で働くメリットは以下のとおりです。
- お客さまから感謝されてやりがいを感じられる
- 市場規模が拡大しておりキャリアアップのチャンスがある
- 働き方の種類が多い
上記を順番に解説します。
お客さまから感謝されてやりがいを感じられる
フィットネスの目的は、人々の健康と幸福に貢献することです。フィットネス業界で働くことで、お客さまから感謝されてやりがいを感じられる場合があります。
たとえば、パーソナルトレーナーとしてクライアントの目標を達成させれば、「ありがとう」などの感謝を直接もらうことができ、やりがいや達成感を得られます。
また、体を動かすことでご自身もリフレッシュしたり、鍛えたりしながら仕事に取り組むことが可能です。
体を動かすことが好きな方がフィットネス業界に就職すれば、ご自身の好きなことや趣味を仕事にできます。
市場規模が拡大しておりキャリアアップのチャンスがある
社会情勢の変化により大幅に売上が落ちたフィットネス業界ですが、現在は回復傾向にある状況です。
売上高や利用者数は年々増加傾向にあり、成長は今後も続くと予想され、更に市場規模が拡大する可能性があります。
市場規模が拡大すれば、働く場所が増え、管理職への昇進のチャンスが増えます。
つまり、フィットネス業界は成長を続ける市場であり、キャリアアップのチャンスが多く存在するといえるでしょう。
働き方の種類が多い
フィットネス業界には次のような働き方があります。
- ジムやスポーツクラブに所属する
- 企業と提携する
- 個人と契約する
フィットネス業界で働く場合、パーソナルジムやスポーツクラブに正社員として就職する働き方が一般的です。指導方法や仕事の規則に関する自由度は低いですが、固定給を得られるので安定した生活を送れます。
ある程度の知識や技術を持った方は、パーソナルジムやスポーツクラブを運営する企業と提携して、業務委託を受ける働き方も可能です。担当したクライアントの数や時間数で報酬が決まり、勤務時間がある程度自由に決められるなどのメリットがあります。
また、フリーランスのトレーナーとして独立し、個人のクライアントと契約する働き方もあります。ジムや施設の方針やポリシーに従うことなく、ご自身の発想でトレーニングメニューを提供でき、努力次第で収入が増える可能性があります。
フィットネス業界では、ご自身のライフスタイルやキャリアの目標などにあわせて、最適な働き方を選べることが魅力です。
フィットネス業界で働く際の注意点
フィットネス業界で働く際の注意点は以下のとおりです。
- 働き方によっては収入が不安定になる可能性がある
- 体力的な負担がかかる
- 常に知識や技術を磨く必要がある
上記を順番に解説します。
働き方によっては収入が不安定になる可能性がある
フィットネス業界の仕事は、働き方によっては収入が不安定になる可能性があります。
たとえば、フリーランスのパーソナルトレーナーはクライアントの人数とレッスン数が収入に影響して変動します。人数やレッスン数が多いほど収入が増えますが、少なければ減ってしまう可能性が高いです。
安定した収入を得るためには、一定の知識や技術を身につける必要があることを覚えておきましょう。
体力的な負担がかかる
業務内容によって異なりますが、フィットネス業界ではある程度の体力が求められることが多いです。
とくに、パーソナルトレーナーやインストラクターとして働く場合、一日中ずっと動き回りながら指導をおこなうため、体力的な負担は大きくなる傾向があります。
明確な年齢制限は設けられていませんが、20代や30代でできた仕事が、40代や50代では厳しくなることは珍しくありません。
また、フィットネス業界では新しいトレーニング方法や技術が登場するため、最新の情報を学び、ご自身の指導に反映することが求められます。
フィットネス業界で長く働きたいなら、ご自身の体力を維持するトレーニングや勉強が必要です。
常に知識や技術を磨く必要がある
フィットネス業界へ就職する際に必須の資格はありません。
しかし、市場規模の増加によるサービスの多様化や、業務による体力的な負担、収入アップなどを考えると、常に知識や技術を磨く必要があります。
最新のトレーニングや栄養学を学ぶためにも、トレーニング関係の資格の取得を目指したり、トレーナー育成スクールの利用を検討したりするのもひとつの方法です。
トレーナー育成スクールとは、パーソナルトレーナーやスポーツジムトレーナーなどの育成を目的とした学校で、トレーニングの指導方法や最新の運動科学、栄養学などを学べます。
スクールによっては現役のトレーナーから指導を受けられるため、実践的な指導技術やコミュニケーション能力を磨くことが可能です。
トレーナーを目指している方や、スキルアップを考えている方は、トレーナー育成スクールの利用を検討するのも良いでしょう。
フィットネス業界のおもな職種
フィットネス業界のおもな職種は以下のとおりです。
- パーソナルトレーナー
- インストラクター
- 施設スタッフ
上記を順番に解説します。
パーソナルトレーナー
パーソナルトレーナーとは、クライアントをマンツーマンで指導する仕事です。
限られた時間で効率良くトレーニングをしたい方を対象に、体格や体力、目的にあった指導や食事メニューを提案します。
クライアントのニーズの多様化が進むにつれて、パーソナルトレーナーにはより専門性の高い指導や知識が求められる可能性があるため、常に最新の情報や技術のアップデートをおこないましょう。
インストラクター
インストラクターは、フィットネスクラブやスポーツジムなどで指導にあたる仕事です。職場によってはジムトレーナーやトレーナーとも呼びます。
スタジオでのグループエクササイズや、ジム内でマシンの操作方法を伝えたり、アドバイスをしたりすることがおもな業務です。
利用者とコミュニケーションを取る機会が多く、トレーニング内容の相談を受ける可能性もあるため、知識や技術を磨くことを忘れないようにしましょう。
施設スタッフ
施設スタッフとは、設備管理やサービス管理などの施設運営に関わる仕事です。
利用者の入退館のチェックや見学者の対応、ショップの商品の販売、施設の保守、清掃、機械のメンテナンス、スタジオレッスンの管理など、さまざまな業務をおこないます。
なお、職場によってはトレーナーと兼任する場合もあり、施設スタッフでもフィットネスに対する知識やコミュニケーション能力などを求められることを覚えておきましょう。
まとめ
フィットネス業界は市場規模が上昇傾向にあり、就職するメリットは多いです。
ただし、業界内では二極化が進んでおり、知識や技術を身につけていない人材が活躍できるシーンは少ない傾向にあります。
フィットネス業界で働きたいと考えているなら、知識や技術を磨くことができ、資格の取得を目指せるトレーナー育成スクールの利用も検討すると良いでしょう。
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